事実、それともSF小説?バイオプリンティングの未来についてCELLINK技術者にインタビュー

2003年に最初のバイオプリンタが製造され、それ以来、バイオプリンティングの分野は急速に成長しており、2026年までに40億ドルを超える市場規模に達すると予想されています。

これほどまでに新しく、画期的な技術は、将来が予測できないように思われるかもしれません。本日は、当社アプリケーションエンジニアのRahul Royに、バイオプリンティングの未来について、事実とフィクションを分けて語ってもらいます。

完全な臓器のプリントは近い将来可能になるのか?

Rahul Roy:近い将来と言うのは相対的です。臓器は10年あれば研究用のプリントも考えられますが、その期間内に臨床使用されることはまずありません。問題の一つは、バイオマテリアルを組織に変える方法を見つけ出すことであり、そのためには細胞への投資が必要なため、非常にコストがかかるという事実です。ミリ単位の小さな立方体でも、数千円の費用がかかることがあります。

課題はやはり、私たちの体の中にあるものを模倣した組織を、いかに正確に、効果的に作るか、ということです。また、価格に関しては、他の技術と同様に、細胞製造のコスト効率を高めるための新しい方法が研究されています。

脳や身体の構造をコピーするのに、AIは活用できるのか?

RR:AIは、将来のバイオプリンティングに確実に関与してくるでしょう。

足場が体からの信号をどのように受け取り、足場内のマテリアルがどのように組織に変化していくのかを理解する必要があります。足場を組織に変える方法を学ぶこと、それが組織工学の核心です。この関係を理解するのは、さまざまな要素が絡んでくるので難しいですが、AIは、こうしたパターンや関係性をより正確に理解することを助けてくれるでしょう。

臨床では、AIを使って患者を診察し、その組織を理解し、足場が体内でうまく機能し、正しく発達するように、バイオマテリアルと形状の適切な条件を作成することができます。

バイオプリンティングは、持続可能な食肉の代替品を生み出すのか?

RR:それは間違いないでしょう!納得のいく、おいしい肉を育てる方法を解明する上で、バイオプリンティングは不可欠です。筋肉がどのように発達するのかを理解するための課題は、さまざまなカットのステーキを作る上で重要な意味を持つでしょう。

バイオプリンタでヴィーガンレザーやワニ革を作れるか?

RR:はい、もちろんです。ワニ皮のような質感を出すというのは、本当に難しいことで、さまざまな技術を合成することになるかもしれませんが、バイオプリンティングが貢献できることは間違いないでしょう。レザー(革)の方が簡単かもしれません。バイオプリントした皮膚と従来の日焼け技術でおそらく実現できるでしょう。

最後に、バイオプリンティングの将来について、最も期待していることは?

RR:アルツハイマー病、パーキンソン病、がんなど、私たちが不治の病と考えている病気の治療法に期待しています。これらが治療可能になることを期待しています。このような応用分野に研究ツールを提供できることは、期待に胸がはずむ思いです。

この先駆的な分野には多くの疑問がありますが、ひとつだけはっきりしていることは、バイオプリンティングは、さまざまな産業において、可能なことの定義が変わるということです。臓器作製、食糧の持続可能性、病気の治療への応用は、研究者には新たなツールをもたらし、大勢の人々には新たな援助をもたらすでしょう。