3Dバイオプリンティングを活用したパーキンソン病研究:神経モデルの作製方法

間葉系幹細胞(MSC)を用いたパーキンソン病の神経モデル作製方法を解説 – 成功に導くための研究用プロトコル

パーキンソン病は、世界中で何百万人もの人々が罹患している神経変性疾患です。この病気は、脳の黒質(運動制御を司る部位)のドーパミン作動性ニューロンの喪失を特徴とします。そのため、パーキンソン病患者には、震え、こわばり、協調性やバランス感覚の障害などの症状が見られます。 

パーキンソン病は、患者やそのご家族のQOL(生活の質)に大きな影響を与える病気であり、現在、治療法が確立されていません。このような深刻な医療課題に、3Dバイオプリンティング技術を活用した治療法の研究に取り組んでいる当社のお客様の研究事例をご紹介します。この技術を活用することで、より生体に近いモデルを作製することが可能になり、この複雑な病気の研究を推進しています。また、個別化アプローチも可能になり、より高い効果が期待できる治療薬の開発にも役立てています。

『BIO X』によるプリンティングイメージ

近年技術の普及が飛躍的に進み、当社のシステムは直感的で使いやすいものになりましたが、神経科学のような精密さが要求される学問では、依然として困難です。しかし、この課題に真正面から取り組んでいるビクトリア大学(カナダ)のWillerth博士のようなお客様に活用いただいていることは、非常に嬉しいことです。

より多くの人がバイオプリンティングのメリットを理解し活用できるよう、Willerth教授の研究チームは、パーキンソン病研究用の神経モデルを作製するために、MSCを用いたプリンティングを最大限に成功させる方法を詳述した実験者用のプロトコルを開発しました。このプロトコルには、細胞培養液から滅菌プロトコル、解析に至るまで、注意すべき項目がすべてまとめられています。なお、プロトコルは当社のバイオ3Dプリンタ『BIO X』での使用を想定しています。

生命科学分野のプロトコル専門誌「Bio-protocol」に掲載されたこの論文は、現在無料で閲覧が可能

Restan Perez, M., Masri, N. Z., Walters-Shumka, J., Kahale, S. and Willerth, S. M. (2023). Protocol for 3D Bioprinting Mesenchymal Stem Cell–derived Neural Tissues Using a Fibrin-based Bioink.(フィブリン由来バイオインクを用いた間葉系幹細胞由来神経組織の3Dバイオプリンティング用プロトコル) Bio-protocol 13(9): e4663. DOI: 10.21769/BioProtoc.4663.

バイオプリンティングの研究やプロセス構築に関して、ご不明な点やサポートが必要な場合はお気軽にご相談ください。当社のアプリケーションスペシャリストが、オンライン・訪問にてご対応いたします。

無料相談を申し込む