細胞培養肉で創る、食の未来

当社は3Dバイオプリンティング装置とバイオマテリアルを研究者の皆様にご提供することで、未来の健康を創造するサポートをしています。食の未来を創造することも、そう遠くはないかもしれません。

細胞培養肉、3Dバイオプリント肉とは?

食品業界や研究者の間では、食肉生産に代わる持続可能な方法として、ラボ培養肉やバイオプリント肉と呼ばれる細胞培養肉が話題に上ることが多くなっています。現在は、in vitroでの組織作製方法の開発・最適化に取り組んでいます。例えば、食用のバイオインクと、押出式バイオプリンタや『BIONOVA X』のような光造形式バイオプリンタを用いて、筋肉や脂肪、血液細胞などを播種するための複雑な足場を造形することが考えられます。また、大阪大学の研究にあるように、バイオプリントされた繊維を手作業で組み立てて、ステーキの組織構造を模倣した肉片を作ることも可能です。例えば、霜降り肉や腱を入れて、味や食感を向上させることもできます。

実験室で育てた肉が地球温暖化に貢献する理由

持続可能性の観点から、細胞培養食肉の生産は、従来の動物飼育による環境ストレスを最小限に抑えながら、動物由来のタンパク質に対する需要の増加に対応できる可能性があります。食料としての動物への依存を減らすために、伝統的な菜食主義(ベジタリアン)、完全菜食主義(ヴィーガニズム)、あるいは昆虫由来のタンパク質を補うなど、食生活の変化を促進することが提案されています。しかし、農業を改善するためにテクノロジーを利用することは、何も新しいことではありません。3D細胞培養や組織工学などの技術的ソリューションは、代替生産手段として大きな可能性を示しています。組成や構造が単純な培養牛乳や卵白の方が早く店頭に並ぶかもしれませんが、研究者は『BIO X6のようなバイオ3Dプリンタを使って実験室で育てたステーキを開発しています。  

バイオ3Dプリンタによる食肉のその他のメリット

実験室で生産された食肉には、コスト削減や輸送の簡便さといったメリットも考えられます。このような理由から、軍事、航空宇宙、医療施設など様々な分野で、栄養に不耐性のある人やアレルギーを持つ人のためのパーソナライズされた食品に関心が集まっています。

食用肉のバイオプリンティングに挑戦

ひとつ確かなことは、研究者は幹細胞を2Dのシャーレに入れるだけで、分化を期待することはできないということです。生体内での細胞の挙動が空間的配置に影響されることを考えると、細胞のための代表的な3D環境を作り出すことが不可欠です。生体適合性のある足場は、『Lumen X+™』のような光造形式バイオ3Dプリンタで造形し、幹細胞を播種することができます。同じ光造形式の『BIONOVA X』は、細胞を懸濁したバイオインクを、比類のない精度、分解能、速度で造形する新たな可能性を提供します。 

もう一つの方法は、希望する構造体にサポートバス内で幹細胞を3Dバイオプリントすることにより、幹細胞を筋肉や脂肪細胞に分化させることです。幹細胞を懸濁したバイオインクをFluidForm社製LifeSupport®のようなサポートバスに、押出式プリンタのシリンジプリントヘッドを用いて造形していくことができます。 このスラリー状の液体は、圧縮されたゼラチン微粒子からなり、崩壊の心配がなく、微細な細胞化繊維を3Dで押し出すことを可能にします。プリントした繊維の架橋後、サポートスラリー(造形物以外の部分)を溶かして造形物を取り出し、さらに培養して細胞の分化を促進させることができます。細胞培養食肉を製造するためには、サポートバスによるバイオプリントのスケールアップや、食用バイオマテリアルのさらなる改良が必要です。

細胞培養肉の安全性について

実験室で培養された食肉は、保存期間が長く、抗生物質の必要性を最小限に抑え、家畜の間での疫病や消費者に影響を与える食品由来の細菌発生のリスクを最小限に抑えるなど、品質管理を強化することも可能になります。

実験室育ちの肉を食べられるようになるのはいつ頃?

シンガポールでは、一部のレストランで細胞培養肉の提供が 許可されました。同時に、米国でも同様の事業が進められており、米国農務省は消費者の安全性を確保するための表示や規制のプロトコルを検討しているところです。バイオプリントする食品の材料特性を決定する以上に、「食品用インク」の開発が、この新しい3Dバイオプリント技術のボトルネックの一つである、 一部の研究者は主張しています。当社が細胞に優しく、食べられる選択肢として、植物由来のバイオインクの研究を進めていることは、非常に意義のある取り組みだと考えています。