持続可能な組織工学プログラム(Sustainable Tissue Engineering Program - STEP)について

高度なバイオプリンティング技術の開発、顧客研究の促進、分野横断的なイノベーターとの協業により、ラボでの動物使用を代替する新たな取り組み

STEPには、国連の「持続可能な開発目標」に向けた取り組みの指針となる原則、ステップ、実践が組み込まれています。動物実験の3R(Replace – 代替、Reduce – 削減、Refine – 苦痛の軽減)の原則に従い、生物医学研究および規制当局の安全性試験(化粧品業界など)における動物使用の代替に重点を置いています。

CELLINKは、動物実験の代わりとなる3次元細胞培養や組織モデリングなどの代替法を可能にする高度なバイオプリンティング技術の開発を行っています。また、お客様がバイオプリンタやバイオマテリアル(生体材料)で達成してきた画期的な研究をサポートし、促進します。バイオコンバージェンス革命の一環として、製品設計や機械・ソフトウェア工学のイノベーターと分野を超えたコラボレーションは、ラボでの動物使用から持続的に移行するという企業責任を果たすために不可欠な要素です。

STEP 1: 技術

最初のユニバーサルバイオインクから最新の産業用バイオプリンタまで、当社の焦点は常に、動物の被験体よりも、ヒト細胞を用いてヒトの臓器や組織を模倣したモデルを使ったバイオプリントによる代替試験や実験方法という最終目標に向けて、3次元細胞培養と組織工学の進歩を支援することでした。

当社の研究開発チームは、業界をリードする最先端のバイオプリンタを開発し、世界中の研究者がハードウェアとバイオマテリアルをより利用しやすくすることで、バイオプリンティングの分野を民主化してきました。数々の賞を受賞した当社の製品は、お客様の素晴らしい研究を後押ししています。また、細胞の生存率を高め、正常な成長を促進する機能的バイオマテリアル(非動物由来のバイオインクや細胞培養液など)の開発を続けています。

CELLSkin

バイオプリンティング研究者向けのフルサービスサプライヤーとして、プリント組織モデルの製造にも取り組んでいます。BICOの傘下企業であるMatTekとの共同開発では、動物実験に代わる動物由来成分を含まないバイオプリント皮膚モデルとして「CELLSkin」を開発中です。CELLSkinモデルは、高価で細胞毒性のある凍結保存による輸送が不要で、すぐに使用できる状態で出荷されます。

STEP 2: 意識啓発

世界中のお客様が、当社の製品や技術を使って日々素晴らしい発見や飛躍的進歩を遂げており、私たちはその研究をサポートし、促進することに全力を尽くしています。さらに、当社は生物医学研究における動物の使用を減らすための普及活動を行う組織との連携を進めています。バイオプリントがもたらす様々な可能性を、より多くの人に知ってもらい、さらに進化させる次世代のライフサイエンス研究者の刺激になればと願っています。

STEPの実践事例となる論文

脳の幾何学的な複雑さを再現し、正常な発達や病気のメカニズムを研究するための脳モデル

植物由来の足場に脂肪由来幹細胞をバイオプリントし、異種由来成分を含まないゼノフリー培地で培養することで、真のアニマルフリーモデルを実現した革新的な3D腱モデル

微小生理神経系のバイオファブリケーションに利用可能な神経モデル

ステレオリソグラフィー・バイオプリンティングと押出式バイオプリンティングを組み合わせた、臨床試験や移植に使用できる人工角膜構造のハイスループットな作製

 

好中球と卵巣がん細胞の相互作用を研究し、様々ながんにおける免疫細胞の関与を理解するために、マイクロ流体一体型3D腫瘍免疫微小環境チップの考案

 

3Dバイオプリンティングと数値流体力学を融合し、コンピュータ断層撮影画像に基づく患者固有の動脈モデル(外科チームのトレーニングや治療アプローチの個別化につながるバイオプリント活用例)

 

Swedish 3Rs Centerは、スウェーデンにおける動物実験の代替、削減、苦痛の軽減に関する知識と進歩のための組織です。同センターでは、スウェーデン科学目的動物保護国家委員会の指導のもと、動物を使わない研究アプローチを促進するためのイベントを定期的に開催しています。

CELLINKでは、自社のウェブプラットフォームを通じて、同センターがより多くの研究者にリーチできるよう支援しています。

Swedish 3Rs Centerについて➝

STEP 3: バイオコンバージェンス

CELLINKは、バイオコンバージェンス革命の一翼を担っていることを誇りに思います。他のイノベーターとの影響力の高い協働や連携に投資し、相乗効果を高め、新たな技術を開発しています。

Func-bioink

この共同研究は、ヒト哺乳類細胞の微小環境を模倣するコラーゲンベースのバイオインクを開発することを目的としています。今回は動物由来のコラーゲンが使用されていますが、FUNC-bioinkは、動物モデルの代替となる、より臨床に近い3Dバイオプリントモデル作製の可能性を開きます。また、現在は動物由来のコラーゲンの代替品を探している段階で、FUNC-bioinkは非常に有望な製品であると言えるでしょう。

LIFESAVER プロジェクト

胎児へのリスクを最小限に抑えた生活環境を提供することで、妊婦にとってより良い健康的な基準を作ることを目的としたコンソーシアム。その目的の達成に向け、科学的に妥当なデータを用いて医薬品や化学物質の潜在的な有害リスク要因を予測し、動物実験を行わず、高い倫理観を持って実験を行っています。

SilkFUSION

このプロジェクトは、血小板減少症の研究において、現在の動物モデルの限界を克服する、巨核球の分化および血小板産生の3Dバイオプリントモデルの作製を目的としています。血小板減少症とは、2つの主要な基礎疾患(血小板の生成減の原因となる造血疾患または自己免疫疾患による血小板の破壊)による疾患です。

当社の技術や製品は、国連のSDGs第3の目標である「すべての人に健康と福祉を」に沿って、世界中の人々の健康に真の変化をもたらしています。CELLINKは、研究者が持続可能で動物にやさしい方法で知識を得ることができる世界に貢献しています。

バイオプリンティングにおける驚くべきブレークスルーを促進するための技術開発から、さらに優れた機器、バイオマテリアル、実験モデルの製造に役立つ相乗効果と、イノベーションを活用した分野横断的なコラボレーションまで、正しい方向へのすべてのステップ(STEP)が重要なのです。世界中の人々の健康と福祉に貢献する持続可能な変化を起こすため、バイオコンバージェンス革命にご協力ください。