より健康的な未来をバイオプリンティング

3Dバイオプリンティングは、間違いなくエキサイティングな分野であり、活況を呈しています。数十年にわたる研究の強固な基盤に支えられ、活気に満ち、決断力に富んでいます。バイオプリントによる人工臓器のヒトへの移植はまだ実施されてはいませんが、複雑な構造を持つバイオプリントによるヒトの組織パターンがこの分野を大きく加速しており、あらゆる国の研究所において開発が進められています。英国ニューカッスル大学では、比較的最近、バイオプリンタとバイオインクを用いて、ヒトの角膜を3Dプリントすることに成功しました。患者の目をスキャンし、データを3Dプリント用のファイルに変換後、アルギン酸とコラーゲンをベースにした適切なバイオインクと幹細胞を用意し、10分間プリントするだけで患者固有の角膜を作ることができたのです。

もちろん、それほど単純なことではありません。しかし、それが現在起こっていることであり、その先にもさらに多くのことが待っていると思うと、胸が高鳴ります。バイオプリンティングが医療の未来に向けて重要な役割を果たし続ける、3つのアプリケーションがあります。

1. 患者固有の3Dプリントされたヒト組織

ニューカッスル大学の文献によると、世界では約1,000万人が感染症によって引き起こされる角膜障害の手術を必要としており、さらに角膜失明につながる病気、あるいはケガ(火傷・裂傷・擦過傷など)により治療が必要な患者が500万人います。

移植用の角膜が著しく不足していることは周知の事実です。現在、新しい角膜が必要な患者のうち、受け取ることができるのは70人のうち、たった1人です。バイオプリンティングはこの課題に対応し、ドナー不足による長く苦しい不確実性を回避できる可能性があります。さらに、James T.Rosenbaum氏とPhoebe Lin氏による最近の記事『Immunological Ocular Disease』で、著者は移植失敗の最も一般的な原因は免疫学的拒絶であると記述しています。

ではバイオプリンティングの未来とは?患者自身の細胞で培養したバイオインクを使った組織は、患者の体内に受け入れられる可能性が高いため、免疫系による拒絶反応のリスクを軽減できる可能性があります。その結果、術後の免疫抑制剤のコストを削減し、再手術の必要性を減らすことができる可能性があります。

2. 製薬研究用バイオインク

人体に使用することを目的とした医薬品や薬剤を開発するには、7~10年という長い年月が必要とされ、およそ26億米ドル(3,378億円)かかる可能性があります。通常、最初の2年間、開発はin vitroで行われます。次の2~3年は、動物実験にステージが移行されます。

最後に、すべてが計画どおりに進んだ場合、ヒトでの試験(臨床試験)が開始されますが、5年ほどかかります。多くの場合、この開発の最終段階で、治験が成功したかが判断されますが、市場に出ることができるのは9つの薬剤のうち1つと言われています。可能性が低く、コストもかかります。バイオプリンティングはこの状況に革新をもたらそうとしています。

創造してみてください。ヒトを使わない、ヒトでの試験。より現実的なモデルで、より低コストに、さらに短時間で多量の薬剤を試すことができる可能性。そんな未来が来るかもしれません。開発予算、プロトコル、ワークフローにどのような影響があるのでしょうか。

サプライチェーンのさらに先、バイオプリンティングのような補完的な技術は、人類にどのような影響を与えるのでしょうか。ヒトの細胞を産業規模で製造、つまりバイオプリントすることは、コストや価格の低減、そして長期的には、現在多くの人が手に入れることができない薬や医療へのアクセスに多大な影響を与える可能性があります。

3. バイオインクによって強化される細胞培養

細胞を、本来の環境の外でコントロールされた条件で成長させる技術は、1930年代以来進化してきました。ワクチン、がん研究、タンパク質治療薬など、細胞培養システムは細胞生物学の研究に欠かせないものです。さらにバイオインクを加えることで、筋肉や肺の組織など、特定の用途に必要な独自の製剤を作ることが容易になります。生きている細胞を支え、接着、増殖、分化を促進する能力を持ち、細胞を観察・分析できる条件を圧倒的に広げています。

未来の細胞培養とは?バイオインクやバイオプリンタを使った自動3Dプリントにより、研究者はこれまでよりもはるかに大きなスケールで臓器や組織モデルの研究が可能になるでしょう。科学者、研究者、学生など研究に関わる人すべてが、より理想的な人工的条件で細胞を培養し、より現実的な手順を設計し、より良い結果を出せる機会を得ることができます。

バイオプリンティングでより健康な未来を

簡単な臓器、あるいはさらに単純な構造の軟骨組織でさえ、3Dバイオプリントし、それを人間に移植するところまで行くには、10年から15年は確実にかかるでしょう。たとえば、臓器をプリントすることに成功しても、臓器を取り囲む血管を機能させるための微小環境を作ることは、依然として課題です。

しかし、これは科学者が立ち向かうべき障害なのです。つい最近まで想像の中と紙の上で生きていたものを、私たちは今日プリントします。バイオプリンティングは、研究者が新たな困難を理解し、可視化することを助け、革新的な解決の道へと開きます。

急成長している分野

バイオテクノロジー分野は急速に成長しています。このスピードは、研究開発を競争力のあるペースで維持するための教育プログラムと一致しています。過去5年間でコースが大幅に増え、今ではバイオプリンティング専門の博士課程やポスドク課程まであるほどです。

世界中で数え切れないほどの論文が発表され、バイオテクノロジー企業が自社の製品やサービスでアカデミアを支援する動きも活発化してきています。実質、バイオテクノロジーは独自の研究分野になりつつあります。バイオプリンティングの素晴らしい多様性により、将来への明るい兆しが見えています。