患者に合わせてバイオプリントした心臓組織

シドニーにあるCarmine Gentile博士の研究室では、移植拒絶反応のリスクを最小限に抑えるために、患者固有の細胞を使用し、オンデマンドでバイオプリントされた心臓組織を開発しています。

死亡原因の世界第1位は心臓病

死亡原因の世界第1位は心臓病

現在、心臓発作で損傷した心筋を修復する方法がないため、世界中の多くの心臓移植登録患者が長期待機中です。一致するドナーを見つけた幸運な人々にとっても、臓器の生存率、地理的距離、免疫拒絶反応など更なるハードルがあります。そのため、依然として心臓病は世界の主要な死亡原因となっています。世界保健機関(WHO)によると、心血管疾患によって毎年1,790 万人の命が失われています。

「拒絶反応のリスクがないように、患者自身の幹細胞を使用しています。」

— UTS のラボで患者固有のバイオプリント心臓パッチを研究している Carmine Gentile 博士。

バイオプリンティングによる心臓パッチ

シドニー工科大学 (UTS) の心臓血管再生グループのリーダーであるCarmine Gentile博士は、2020 年に彼の研究室が「患者自身の幹細胞を使用した拒絶リスクのない、移植用の個別化された心臓を3D モデル化し、バイオプリントする技術を開発した」ことを発表しました。バイオプリントした心臓パッチ内に細胞が血管を作成するための最適な条件が、この技術により特定されました。

From Left: Graduate students Wafa Al Shamery & Sruthy Ghanachselvam are part of the team at Dr. Gentile’s lab.

2020 年の研究では、アルギン酸ゼラチンハイドロゲルを使用して、CELLINK’s BIO X™でマウスの細胞がバイオプリントされました。バイオプリントされた心臓細胞は、心臓組織の拍動パッチに発達するまで、7 ~ 14 日間培養されました。細胞が発生したマウスの開胸手術中に、血管新生心臓パッチが心臓の損傷領域に移植されました。移植は、バイオプリントされたパッチの安全性をテストし、それらが心機能にプラスの効果をもたらすことを確認することを目的としており、両方が検証されました。

3Dバイオプリントによる心臓パッチの最適化

「これはゲームチェンジャーになる可能性があります」と、シドニー工科大学 (UTS) の心胸郭外科の研修生であり、博士課程の候補者である Chris Roche 氏は述べています。彼は、アドバイザーである Gentile 博士と 2020 年の研究を共同執筆しました。Gentile博士の研究室と協力し、シドニー大学、シドニーのカトリック大司教区、Heart Research Australiaからの支援を受けて、Roche の博士論文は、これらの血管新生心臓パッチと移植手順をさらに最適化することを目指しています。彼の長期的な目標は、いつの日か人間の患者を対象とした臨床試験に到達することです。 「これにより心臓発作後、患者の要求に応じた心臓細胞の交換が可能となり、拒絶の可能性がなく、心不全のリスクが減り、重要なことに、心臓移植の待機リストがなくなります」とRocheは期待しています。

医療の未来を創造する

「心臓移植に代わる安全な方法を、患者が緊急に必要としていることは承知しています。」と Gentile 博士は話します。「私たちはこの技術をさらに開発し、可能な限り短期間で利用できるようにするために懸命に取り組んでいます。」 Gentile博士の研究室では、血管新生心臓パッチの in vivo 試験と、研究室のプロトコルの微調整に引き続き注力していますが、1つ確かなことがあります。 CELLINKは、患者固有の再生医療のために人間の心臓組織をバイオプリントし、医療の未来を創造できるよう、この進取的な研究室の取り組みをサポートします。

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こちらもお読みください:

www.gentilelab.com 
https://profiles.uts.edu.au/Carmine.Gentile

Roche CD, Brereton JR, Ashton AW, Jackson C, Gentile C. Current challenges in three-dimensional bioprinting heart tissues for cardiac surgery. European Journal of Cardio-Thoracic Surgery. 2020; 58(3): 500–510. DOI:10.1093/ejcts/ezaa093.

Roche CD, Gentile C. Transplantation of a 3D bioprinted patch in a murine model of myocardial infarction. Journal of Visualized Experiments. 2020; 163: e61675. DOI:10.3791/61675.

Roche CD, Sharma P, Ashton AW, Jackson C, Xue M, Gentile C. Printability, durability, contractility and vascular network formation in 3D bioprinted cardiac endothelial cells using alginate–gelatin hydrogels. Frontiers in Bioengineering and Biotechnology. 2021; 9: 110. DOI:10.3389/fbioe.2021.636257.

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