バイオプリンティングで肺がん細胞の共培養を実現

導入先

Florida A&M University(フロリダA&M大学、アメリカ)

研究チーム

Arindam Mondal, Aragaw Gebeyehu, Mariza Miranda, ほか

課題

非小細胞肺がん(NSCLC)は世界中でがん死亡原因の一位であり続けています。技術的および科学的アプローチが大きく改善されたにもかかわらず、NSCLCの医薬品開発には、ハイスループット3D in vitroモデルがなお必要とされています。患者由来異種移植(PDX)細胞やがん関連線維芽細胞(CAF)を、生体適合性のある細胞外マトリックスやハイドロゲルの存在下で使用する多細胞3Dモデルは珍しく、また、現在バイオプリント材料として使用されている天然および合成ハイドロゲルは、生体適合性やプリント適合性の問題から、その数は限られています。

解決策

フロリダA&M大学の研究チームは、NSCLC PDXとCAFの共培養を3Dプリントするために、レオロジー的に最適化したアルギン酸ナトリウムとゼラチン(SA-GL)のハイドロゲルを用いた当社のバイオプリンタ『INKREDIBLE』を使用しました。共培養を15日間維持し、細胞生存率と特異的マーカーの発現を解析しました。

結果

本研究では、SA-GLハイドロゲルのレオロジー最適化により、NSCLC PDXおよびCAF共培養のプリント適合性と生存率が向上し、プリントされた足場内で3Dスフェロイド形成が可能になることが実証されました。スフェロイドは腫瘍特異的マーカー(ビメンチンやα-SMAなど)を発現し、細胞間のクロストークが確認されました。このモデルは、ハイスループット創薬スクリーニングや、その他の前臨床研究での応用が期待されます。

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Characterization and printability of sodium alginate-gelatin hydrogel for bioprinting NSCLC co-culture. Scientific Reports. 2019; 9(1): 19914. DOI: 10.1038/s41598-019-55034-9.