スフェロイドとは何ですか?なぜ重要なのですか?

スフェロイドとは、増殖中球状体に自己組織化する3次元細胞培養のことで、1970年代にハムスター肺細胞を懸濁培養したところ、ほぼ完全な球状に組織化することが観察されたことから、その名前が付けられました。2次元の単層細胞培養では、細胞は培養基板と相互作用しますが、3次元の細胞培養では、細胞間の結合を促進するスフェロイドに成長し、天然組織内の細胞外マトリックス(ECM)に包埋することができます。そのため3D細胞培養は、微小環境における細胞の理解に役立ち、より現実的な、細胞の反応や病気の機序の研究ツールとして活用することができます。

スフェロイドは、再生医療、がん研究、創薬スクリーニングなどの分野で特に注目されています。間葉系幹細胞(骨髄に存在する多能性細胞で、骨格組織を形成・修復する能力を持つ)のスフェロイドは、移植後の組織再生・修復特性が向上し、生存期間も長くなることが確認されています。がん研究において、スフェロイドは多細胞腫瘍スフェロイドモデル(MCTS)として、固形腫瘍の生物学を研究するために使用されています。このスフェロイドは、細胞の成長、相互作用、増殖、栄養や化学物質の吸収などの解明が可能な独特な細胞構成をしているため、薬剤候補の非臨床試験用として理想的なモデルとなっています。

3Dバイオプリンティングによるスフェロイド形成自動化システム

スフェロイド形成の課題として、再現性が高く、サイズが均一なスフェロイドを形成するための最適な技術の開発やワークフローの構築が挙げられます。スフェロイド内の細胞機能はスフェロイドのサイズと密接な相関があるため、再現性の高い結果を得るためには、サイズの均一性が特に重要です。

空間制御の改善、ヒューマンエラーの低減、材料の柔軟性、スピードの向上により、3Dバイオプリンティングによる自動化は、より高度なサイズの均一性と再現性を可能にします。今日のバイオプリンタは、複数の細胞種を同時にプリントし、高精度の液滴分注を可能にします。また、ハイドロゲル、バイオフィルム、粒子など、さまざまなバイオマテリアルを同時に使用することも可能です。より速く、より大量にプリントできる、ハイスループットでコスト効率の高い3Dバイオプリンティングシステムは、さらなる技術革新が期待されています。しかし、それと同じくらい重要なのは、研究者が標準的なワークフローを開発し、時間のかかる反復作業を避け、スフェロイドによる正確な予測モデルを構築するために、より一貫したデータ収集をすることです。

細胞の増殖と生存を促進するスフェロイドの使用方法と効率化に磨きをかけることで、新たなスフェロイド応用への道が開けることは間違いありません。

スフェロイド作製をご自身の研究室で

スフェロイドは、3次元細胞培養を推進し続けるものです。当社は、このような細胞クラスターを簡単かつ再現性よく形成するためのツールが必要であると考えています。そのため、高速分注のための電磁式液滴(EMD)ヘッドを開発し、BIO X にドロップレットモードを搭載しました。

よりハイスループットのニーズには、細胞に優しく、高速な分注を可能にする当社グループ企業 DISPENDIX の I.DOT または I.DOT MINI リキッドハンドリングシステムをご用意しています。