成体幹細胞の量産化を可能にするRonawk社のバイオプリントT-blockにより、研究業界に激震が走っています
A.J. Mellott博士とHeather Decker氏が設立した米国カンザス州を拠点とするバイオエンジニアリングスタートアップRonawkは、成体幹細胞の量産を容易にする革新的なハイドロゲルの足場となるT-blockで再生医療に革命を起こしています。同社の最高経営責任者であるMellott博士は、BIO X™による3Dバイオプリントの試作から、Lumen X DLPバイオプリンタでのハイスループットな製造まで、最初から最後までCELLINKの実績のあるアプリケーション研究チームが彼をサポートしたと述べています。
成体幹細胞の研究は、近年のライフサイエンスにおける技術革新、特にバイオプリンティングの分野での技術革新により、飛躍的に発展しています。脱毛症から糖尿病の治療、そして個人用3Dバイオプリントオルガノイドの移植など、幅広い範囲での応用が検討されています。特にオルガノイドの移植については、患者の成体幹細胞を培養して、長期間の免疫抑制剤を必要としない生存可能な移植用オルガノイドを作ることを想定しています。
幹細胞研究者を悩ませる障害のひとつは、骨髄、脳、筋肉、脂肪組織から成体幹細胞を探し出すことがいかに困難であるかということです。もちろん、臨床応用に必要な量の幹細胞抽出に非常に時間がかかるということは言うまでもありません。その結果、多くの研究者が、in vitroの細胞培養で成体幹細胞を大量に生成する方法を見つけるために熱心に取り組んできました。
University of Kansas Medical Center(カンザス大学医療センター)の研究室から独立したこのスタートアップ企業は、生体適合性のあるハイドロゲルと独自の形状を用いて、3Dバイオプリントのインターロッキング足場を設計しました。そして、このT-blockに成体幹細胞を播種し、in vitroでより多く増殖できるような環境を整えたのです。抽出した成体幹細胞を長期間生存させることは、成体幹細胞を利用する上でのもうひとつの課題でした。しかし、Ronawkのモジュール設計により、バイオプリントされたTブロック足場は、X、Y、Zの軸方向に無限に追加することが可能です。継代の必要がないため、幹細胞は自由に増殖、移動、細胞外マトリックスの分泌を続け、組織へと成熟することができます。しかし、Ronawkのモジュール設計により、バイオプリントされたTブロック足場は、X、Y、Zの軸方向に無限に追加することが可能です。継代の必要がないため、幹細胞は自由に増殖、移動、細胞外マトリックスの分泌を続け、組織へと成熟することができます。
CELLINKとの関係は、従来のカスタマーサポートというより、コラボレーションに近いと博士は話します。BIO Xでプロトタイプの実験をしていたとき、交換可能なプリントヘッドやツールヘッドなど同社のアプリケーションサイエンティストからの提案は、非常に貴重だったと言っています。その後、DLP(デジタル光処理)方式のバイオ3DプリンタLumen Xを紹介され、より大規模に、より精密に生産を行うことができるようになりました。さらに、カンザスラボがT-blockに必要な追加のプリント領域に対応するようにプラットフォームをカスタマイズした後、より大きなファイルを処理するための方法を考案したのはCELLINKチームでした。
Ronawkの最高技術責任者である Decker氏は、CELLINKの支援によって幹細胞足場の製造スケジュールが大幅に短縮されたと語ります。「以前はほとんど制御できなかったT-blockの分解能やさまざまな側面を制御できるようになりました」と彼女は言い、このワークフローの最適化などが、煩雑な製造工程を数週間から3日に短縮したと評価しています。しかし、CELLINKのグローバルセールス責任者であるPaul Berningは、「Ronawkは、バイオマテリアルに関する貴重なフィードバックも提供してくれており、さらなるコラボレーションを期待しています」と、この関係が共生であると述べています。